事項 ベントナイトを用いた水田畦はん漏水防止法と省力水管理法
ねらい 冷害防止には適切な水管理によって水温・地温の上昇を図ることが重要であるが、近年、労働力の減少や高齢化が進み、十分な管理が難しくなっている。また、黒ボク土壌等の漏水の多い水田では、幼穂形成期の深水かんがいが掛け流し同然となり、逆に冷水被害を招く恐れがある。そこで、畦はんにベントナイトを施用して畦塗りすることにより、畦はんからの漏水を大幅に減少させる技術を開発した。これに、半自動水管理装置を併せて使用すると、水管理に要する労働時間及びコストを大幅に削減できることが明らかになったので普及に移す。



















1 ベントナイトを施用して畦塗機で畦はんを造成し、水稲移植後に半自動水管理装置を水口に設置する。

2 ベントナイト畦はんの造成手順
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(1) ベントナイトの施用量
 畦はん1m当たり8kg程度。
(2) 造成畦はんの効果持続期間
 5年間は持続すると考えられる(4年間は確認済み)。効果が薄れてきた場合は、上記ベントナイト畦はん造成手順に従って再度造成する。ただし、ベントナイトの施用量は畦はん1m当たり2〜3kg程度でよいと考えられる。

3 半自動水管理装置の設置法
(1) 水稲移植後、半自動水管理装置(N社製、楽田郎−2)を水口に設置する。
(2) 正確な水管理を行うため、塩ビパイプ等でフロートカバーを作成して取り付ける。

4 効果
 漏水防止によるかんがい回数の減少と半自動水管理装置の併用により止水管理が自動的に行われ、水管理等に要する労働時間が6割削減され、3割のコスト低減になる。
期待される効果 畦はんからの漏水が防止できることと適正な水管理が行えることにより、水温・地温が上昇し、生育促進と冷害発生の抑制が図られる。
普及上の注意事項 1 ベントナイトの散布は、畦はんの表面が乾いている状態で行う。
2 過湿状態での畦塗りは、畦塗機の畦はん成形装置に粘土化したベントナイトが付着し、成形した畦はんの表面が崩れることがあるので行わない。
3 ベントナイトの施用量(畦はん1m当たり)が増加するほど畦はん浸透水量は減少するが、8kg以上では大差がなく、減水深や水田水温等に及ぼす効果もほぼ同等と推定できる。
担当 青森県農業試験場 藤坂支場 対象地域 黒ボク土壌等で漏水の多い水田
発表文献等 平成13年度 指導奨励事項・指導参考資料等
平成10〜14年度 青森県農業試験場 試験成績概要集


<根拠となった試験結果>

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図2 小規模試験における施用量と畦はん浸透水量(平成14年 青森農試藤坂支場)


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(注)表中の()内の数値は、無施用区を100とした場合の値。


表2 実用規模試験における減水深、降下浸透水量及び畦はん浸透水量
(平成14年度 青森農試藤坂支場)
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(注)1 表中の()内の数値は、慣行区を100とした場合の値。
  2 試験ほ場の面積は10a


表3 実用規模試験におけるかんがい回数及び水田水温・地温   (平成14年度 青森農試藤坂支場)
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(注)1 データは、6月29日から9月3日までの合計値及び平均値
    表中の()内の数値は深水管理期間(7月20〜29日)の平均値
  2 水温・地温はほ場中央で計測
  3 試験ほ場の面積は10a


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(注)
1 使用機種:水み君(楽太郎-2に類似した自動水管理装置)
2 自動水管理装置使用期間:7月9日〜9月16日
3 供試品種:むつほまれ

表7 原水深の少ないほ場での減水深、降下浸透水量及び畦はん浸透水量
                      (平成13年 青森農試藤坂支場)
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(注)1 試験場所:十和田市六日町
  2 表中の()の数値は、慣行区を100とした場合の値
  3 試験ほ場の面積は30a
  4 土壌種類:中粗粒灰色低地土・灰褐系


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写真1 楽田郎−U(N社製)

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図3 フロートカバーの設置法


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