令和3年度 病害虫発生予察情報 特殊報 第1号(ネギハモグリバエ別系統)

ネギハモグリバエ別系統の発生について

1 作物名 ねぎ

2 病害虫名 ネギハモグリバエ(別系統) Liriomyza Chinensis Kato

3 発生経過
(1)令和3年8月4日に中南地域のねぎ栽培ほ場において、ネギハモグリバエによ
   る著しい食害痕や葉の白化症状が確認された(写真1)。この被害状況は従来の
   ネギハモグリバエ(以下、A系統)と異なり、他都府県で発生が認められている
   ネギハモグリバエ別系統(以下、B系統 )による食害と類似していた。

(2)このため、採取した幼虫を羽化させ、国立研究開発法人農業・食品産業技術総
   合研究機構野菜花き研究部門に遺伝子解析を依頼したところ、本県では初確認と
   なるB系統と同定された。

(3)B系統は、平成28年に京都府で確認されて以降、全国的に発生が認められてお
   り、東北地方では本県を除く5県で既に発生が確認されている。

4 被害の特徴等
(1)B系統はA系統に比べ1葉当たり幼虫数が多く、集中的に加害する傾向にある。

(2)B系統による初期の食害は、A系統と同様に不規則な白線状であるが、食害が
   進むと近接した複数の食害痕が癒合し、葉が白化する(写真1)。

(3)B系統の寄主範囲は解明されていないが、A系統はねぎのほか、たまねぎ等の
   ネギ属植物を加害する。

5 形態及び生態

(1)B系統はA系統と形態的な差異が認められず 、外観による識別は困難である 。

(2)幼虫はうじ虫状で、成長すると体約4㎜に達する(写真2左)。蛹は体長約3
   ㎜の褐色、俵状である(写真2中央)。成虫の体長は約2㎜で、胸部と腹部は黒
   く、その他部分は淡黄色である(写真2右)。

(3)両系統とも成虫は葉の組織内に産卵し、ふ化した幼虫は葉の内部に潜り込んで
   葉肉を食害する。幼虫は成長すると葉から脱出し、地表又は土中で蛹になる。

6 防除対策
(1)現在のところ、ネギハモグリバエの系統による違いで薬剤感受性が異なるとの
   報告はないため、薬剤防除に当たっては、「ネギハモグリバエ」又は「ハモグリ
   バエ類」に適用のある薬剤を使用する(表1)。なお、 抵抗性害虫出現防止のた
   め、同一系統薬剤(IRACコードが同じ剤)の連用を避ける。

(2)生育初期に寄生された場合は被害が大きくなるおそれがあるため、早期発見に
   努め、発生初期から防除を徹底する。

(3)被害葉及び収穫残さはほ場内に放置せず、適切に処分する。

 

詳細は添付ファイルを御覧ください。

20210922_特殊報_青森県_ねぎ_ネギハモグリバエ(別系統)

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